再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
尋ねてみても加賀美さんの仕事内容についてわかったことはあまりなかった。でも、話してはいけないことや秘密が多そうな職業だから仕方ないのかもしれない。
前方の信号が赤に変わり、車がゆっくりと停車した。
加賀美さんが「そういえば」となにかを思い出したように呟く。ドア部分に肘を当てると、頬杖をついて私に視線を向けた。
「千晶ちゃんは彼氏いるの?」
「えっ、彼氏⁉」
突然話題ががらりと変わり、思わず目をぱちくりさせてしまう。
「ごめん。唐突な質問だった。さっきの佐波さんの言葉を思い出して気になったから」
「父の言葉?」
もうすぐ信号が青に変わりそうで、座る態勢を戻した加賀美さんがハンドルを握る。
車がゆっくりと動き出した。
「佐波さん、千晶ちゃんの結婚相手に厳しく条件を出していただろ。だから彼氏がいても迂闊に紹介できないんじゃないかなと思って」
「確かにそうですね」
思い出して苦笑する。
条件は、父よりも強くて頼りになるかっこいい男性だったかな。
「困りますよね、そんなこと言われても。今のところ私に彼氏はいないからまぁいいんですけど」
「紹介したこともないの?」
「ありません。というよりも彼氏がいたことないので」
二十四歳にもなって恥ずかしいけれど私には交際経験がない。それをこんな形で加賀美さんに知られてしまうとは。