再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「千晶ちゃん、仕事はどう?」
車通りがやや多く混み合った幹線道路を進みながら、隣でハンドルを握る加賀美さんがちらっと私に視線を向けた。
そういえば彼が北海道へ異動になった年に私は就職しているので、加賀美さんと仕事の話をするのは初めてだ。
「広告代理店で働いてるんだよね。どんなことしてるの?」
「求人情報誌を作っています」
都内にある広告代理店に大卒で入社してこの春で三年目。
この業界に憧れていたわけではない。片っ端から採用試験を受けて最初に内定を貰ったのが今の会社だったから入社しただけ。けれど、今は自分の仕事にやりがいを感じている。
街中で無料配布しているフリーペーパーを作るのが主な業務の小さな会社で、私が配属されたのは営業部。求人情報誌を担当している。
「加賀美さんは今はどんな仕事をしているんですか」
確か本庁勤務だと言っていたけれど警察庁のことだろうか。
父に部署を聞かれたとき答えを濁していたのはどうしてだろう。
交番や警察署にいる警察官とは違い、加賀美さんの仕事内容が想像できない。
「俺は主にデスクワーク。資料を作るためにパソコンキーを叩いてる」
「事件の捜査をしたりとかはしないんですか?」
「しないかな。基本的に現場には出ないから」
「そうなんですね」