再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


いや、態度は少し変わったかもしれない。

髪を撫でられたり、手を握られたり、抱き締められたりもした。

不意打ちのスキンシップが増えたように思う。

でも触れられてこわいどころか加賀美さんだとドキドキしてしまうのはどうしてだろう。



お昼休憩を終えて午後の仕事をこなしつつ、気になるのはやっぱり私のあとをつけていた男たちの存在。

朝は加賀美さんが会社まで一緒に来てくれたけど帰りは迎えに来られないらしい。

当然だ。彼だって仕事をしているのだから。

なるべく人通りの多い道を歩くか、電車ではなくてタクシーを使うように言われている。

仕事を終えた私は警戒心を強め、会社を出たところでいったん立ち止まった。

周囲に怪しい人物がいないかを確認する。

とりあえず問題なさそうなので、足を前に進めようとしたときだった。


「――佐波」


男性の声に呼び止められた。

警戒心を強めていたせいで聞き慣れた声のはずなのにびくっと肩が跳ねる。

振り返ると立花くんがこちらに向かって走ってくるのが見えた。


「佐波も今帰り?」

「うん。立花くんも?」

「そ。駅まで一緒に歩こうぜ」

「え⁉」


思わず過剰に反応してしまった。

こうして立花くんと顔を合わせて話をするのは告白を断ってから初めてだから。


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