再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
しばらくすると注文したミックスフライ定食が運ばれてくる。
「いただきます」
ゆっくりと味わいたいところだけど午後一で会議があるのでそれまでには会社に戻らないといけない。
ぱくぱくと食べ進めて、最後の楽しみに取っておいたカキフライも食べ終えた。グラスの水を飲み干してから席を立つ。
レジで会計をすませてから「今日も美味しかったです」と奥さんに挨拶をしてから店を出ようとした。
すると、入口付近に座っている三十代ぐらいのスーツを着た男性が「あっ」と小さな声を上げた。
振り向くとどうやらグラスを倒して、テーブルの上に水をこぼしてしまったらしい。男性のスラックスが濡れている。
「大丈夫ですか」
すかさず近付いて声をかける。
私と目が合った瞬間、男性の肩がびくっと跳ねた。
とても驚いたような顔をされてしまったけれど、私が突然声をかけたからかもしれない。
バッグの中からハンカチを取り出して男性に渡した。
「これで拭いてください。まだ使っていないからきれいなので」
「えっ、いや、あの、でも……」
しどろもどろになる男性。余計なお世話だっただろうか。けれど男性はおそるおそる手を伸ばして私のハンカチを受け取った。