人生模様

和解

みさから手渡された、父の会社の電話番号へ、おそるおそる電話してみた。


「もしもし…。あの、私」

「舞か?父さんだよ!良かった〜。電話、ずっと待ってたんだよ!」


「ごめんね」


「夕方の5時に待ち合わせて、一緒に家に帰ろう!お母さんも反省してるし!これからは、父さんが舞を守るから!」


父は、母とは正反対の性格で、おとなしく、穏やかな人だった。内心、母の事を嫌ってたが、逆らえないでいた。


「分かったよ!駅で待ってる」


「絶対だよ!」


「うん…。じゃ5時にね」

そして約束の時間になった。少し遅れて駅に着くと、心配そうに立つ、父の姿があった…。


涙がでそうになった…。
だけど、ぐっとこらえた!

「ごめん。待った?」


「良かった〜。舞、来ないかと心配だった」


父の顔が、安心した表情になってた…。


家まで道のりが長く感じた。家が近づくにつれ、恐怖心でいっぱいになった。


強くなる!強くなる!そう何度も言いきかせた!


家に着くと父が最初に入った。


「ただいま」


母が慌てて出てきた。


「舞…。おかえり」


また涙がでそうになった


「御飯にしよう」母の一言で、いつもの食卓についた

みんな無言だった。誰かが口を開くのを待ってた。


そんな中、母が口を開いた

「みさちゃんって、すごく、はっきりした子ね」


「みさは強いから…。」


「舞も、みさちゃんの様に言いたい事、言わないとダメよ。これからは何でも言ってね」


「じゃ、言うけど!お母さんが大嫌い!小さい時から虐待して、最低だよ…。」

母は初めて涙した。
勝った気がしてた。


「虐待だなんて…。そんなつもりじゃ…。でも…舞には少し厳しくしすぎたね!ごめんね!これからは気を付けるから」


まるで別人の様で、きみがわるかった…。


けど…。やっと母も分かってくれたんだ!やっと仲良くやってける!そう思った

強くなれた気がした。


今の自分なら、きっと、達也とも、うまくやっていける!そう信じてやまなかった…。
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