その恋、まぜるなキケン

別離

真紘の看病の甲斐あってか、翌日には旭の熱も下がり体調はすっかり回復した。


そしてそれと同時に、うっすらとぼやけていた昨日の記憶が徐々に鮮明になってきて、旭は頭を抱えた。


「完全にやらかした……」


口をついて出た恥ずかしいセリフの数々。


そして、言い逃れのできない行為(キス)で、越えてはならない一線を越えてしまった……かもしれない。


さらに気がかりなのが、母との電話を終えてからの真紘の様子だった。


彼女の生活を制限しているだけでなく、親に嘘までつかせてしまった。


そのことで、きっと彼女は自分自身を責めているだろう。


そして旭は旭で、自分の中で膨らみ続ける真紘への想いに戸惑っていた。


正直、このまま彼女と同居を続けられる自信がない。


いつか昨日のような、あるいはそれ以上の行為をしてしまうかもしれない。


色々なことが限界で、引き返すならもう今しかない。


きっとここらがちょうど潮時なのだと考えた。
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