ー野に咲く花の冒険譚ー
「なんなんだ。用件は纏めて話せ。僕らも暇じゃない」
「よせジョン。場所だって教えて貰ったんだから。悪いな,こいつは真っ直ぐともひねくれてるとも言えないやつなんだ」
ぐいと肩を引き寄せ咎めたタルト。
僕はその顔を不満に見つめた。
「いいさ,こっちこそ悪かったな。今度村の人間の家族が越してくるっつぅんだが,家をたてようって場所に邪魔な木が生えててよ。それが太いのなんのって困ってたんだよ」
「で?」
話の長さに口を挟まずにいられなかった僕は,またタルトに小突かれる。
ちっとも痛くない攻撃だが,僕の不満はさらに膨らんだ。
こんなの最後まで聞いたって,どうなるかは目に見えている。
僕は出来れば早く立ち去りたかった。
何度も口にしたくはないが,僕らは暇じゃない。
ただ食糧を正当に買いに来ただけ。
なのに