4K幼馴染は溺愛がすぎる
なんだかんだと忙しい日々がすぎて、やっと金曜日。
今日は朝から緊張しっぱなしだ。
夕の事はもちろんなのだが、今日は最近できたらデパートの中にうちの商品を置いてもらう為に初めて足を運ぶ日。
初手で躓く訳には行かず、ここ1週間はこの案件についてずっと準備をしてきた。
噂によると、先方はなかなか首を縦に振ってくれない厳しい人だそう。

"年齢は同じくらいって聞いたけどやっぱり緊張するな〜、、、。"

そう思いながら、先方が来るのを客室で待っていると

「お待たせして申し訳ありません、私、、って鈴音?」

「絢斗?」

入ってきた先方を見ると、何故かそこには大学時代に付き合っていた白石絢斗が立っていた。

「驚いたな、まさか鈴音とまた会うとは」

絢斗は、鈴音が付き合ってきたダメ男の中では珍しくまとも、と言うよりむしろ良い彼氏だった。
1つ上の絢斗は鈴音よりも先に就職し、学生と社会人となってすれ違いが増えて徐々に距離ができて別れることになった。

でも、これは仕事だ。例え元彼だとしても、しっかりと社会人の対応をしなければならない。

「驚きました。白石さん、本日はよろしくお願いします。」

深々と頭を下げると、ま、仕事は仕事だよな。
と分かってくれた様でスムーズに話を進められた。

商談の感触はなかなかよかったものの、その場で返事が貰えるほど簡単ではなかった。

「では、ありがとうございました。」

頭を下げて帰ろうとした時

「あ、志倉さん」

と呼び止められる。

「はい?」

「この後何も無い様でしたら、親睦も深めてご飯とかどうですか?もう少し聞きたいこともありますし。」

いつもであれば営業先の誘いは絶対断らない。
でも今日は鈴音にとって大事な用事が控えている。

「すみません、嬉しいお誘いなのですが、今日は先約がありまして。」

「いいじゃん!久々に会ったんだしさちょっとだけでいいから!」

と諦めずにグイグイくる絢斗。取引先ということもあって無下に出来ないのが凄くめんどくさい。

「分かりました。1時間程でしたら。」

「よしっ!じゃあ早速いこ〜!」

と馴れ馴れしく肩を組んでくる絢斗をするりと抜けて微笑み

「仕事相手として、よろしくお願いします。」

と釘を刺してお店へと向かう。
その途中で、夕に

"ごめん、、取引先にどうしてもって言われたから1時間だけ接待してくる。。ここで食べるから近く来れそうだったら来てほしい!ごめん!"

とお店のURLと一緒にLIMEを送ると

"了解。俺も仕事押してたから全然大丈夫だよ。頑張ってね。"

となんとも優しい返信が返ってきて、それだけで鈴音の心はきゅーっと締め付けられる。

早く会いたいな〜なんて思いながら、絢斗、白石さんの後をついて行く。
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