再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~【リニューアル版】
「愛莉ちゃん……すぐに君を忘れることは無理だと思う。僕が、愛莉ちゃんを好きな気持ちは本物だからね。でも、君が菅原先生を好きだってこと、忘れないようにするよ。ずっといろいろ我慢してきたから、何だか少し疲れた。僕は、今まで何をしてたんだろうね……帰って頭を冷やすよ。じゃあ、また。2人とも、ごめん」


体が……フラフラする。
僕の中に、長い間住み着いていたのはいったい何だったんだろう。


「坂井先生。明日からまた、病院で……よろしくお願いします」


菅原先生は、僕に頭を深く下げてくれた。


「あ、ああ」


どれだけの時間がかかるだろうか?
自分の気持ちを正常に戻して、そして、愛莉ちゃんを自分の中から全部消し去れるまで……


そんな日が来るのかも、今の自分にはわからないけど、そうしないといけないってことは、僕にもわかってる。
医師として、いや、人として、これからはまともな人生を送りたい。


母の笑顔を見に、田舎にでも行ってみようか……
その時は、母の大好きな花で埋め尽くされた美しい花束を持っていこうと思う。


月ばかりを見るのは……もう止めよう。
何年かぶりに、陽の光を浴びたいと――
泣きたいくらいにそう思った。
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