再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~【リニューアル版】
愛莉さんの笑顔、今も毎日思い出す。
それだけで元気になれる。


「近くにいなくても、奥さんはお前の中に歴然と存在してる。だから……それを忘れないで。自分を覚えてくれる人がいなくなったら、奥さんが可哀想じゃないか。月が自分で輝けないことは、決して悲しいことじゃない。誰か大切な人とずっと一緒だってことだ。お前が生きて、生きて、生き抜いて、奥さんと一緒に輝いてくれ。そしたらきっと、笑ってくれる……お前が笑えば、奥さんも……」


愛莉ちゃんも、僕が笑っていれば、医師として頑張っていれば、きっと喜んでくれるはずだから。


友人は、嗚咽した。
その姿を見ると、あの日、僕が生まれ変わった日のことを思い出す。


月は……美しい。
太陽の力を借りて、暗い暗い闇に光を放っている。
確かに心が沈んでいた頃は、月より太陽の方が存在する価値があると思っていた。
でも、そうじゃなかった。
太陽も、月も――
どちらも間違いなく存在意義のある大切なものなんだ。


人間の命は儚い。
だからこそ、最後の瞬間まで輝き続けていたいと思う。
全ての大切な人達の幸せを願い、僕は医師としての使命を、この命が尽きるまで全うしたい。


愛莉ちゃん……
君が幸せなら、僕も幸せだよ。
出会ってくれて、本当に……ありがとう。
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