青空@Archive

晴ノ参@アリス

 気を失ってる紫苑は、この世界特有の巨大な葉の上に横たわっていた。
「しっかし、こうして寝顔だけなら端正な顔してるのにな」
 スパー……。
 藍は、病院ではさすがに吸えなかったメンソールの煙草に火を付けながら、これまた両手じゃ収まりきらない程の巨大キノコに腰を下ろす。
 ぷにっ。
 この何物にも代え難い至高の座り心地。これもまた久々だ。
 いったい何年ぶりだろうか、こうして書渡を見届けるのは。
 藍は煙を吐き出しながら目を細める。
(いや、最後まで見届けられるのか? 俺は)
 スパー……。
「う……ん……」
「おっと。目、覚ましそうだな」
 煙草を靴の裏で揉み消し、携帯灰皿へと落とすと、淀んだ曇天(そら)を仰ぐ。
「さて、と。また口の悪い“お姫様”のお相手だ――」
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