「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~

理不尽な婚約破棄

「おれにはふさわしくない。ほら、見ろよ。チビでデブで髪と瞳は、不吉な黒色だ。地味すぎるしジメジメ感が半端ない。容姿だけではない。性格もジメジメすぎるし真っ暗すぎる。そんなレディが、このウイルクス帝国の皇太子に似合うと思うか? ふんっ。『大聖母』と添い遂げるというのが皇太子の使命らしいが、その『大聖母』じたいが眉唾物だ。そういう存在は、大昔の伝説だ。加護や治癒の力など、実際あるものか。そういうものは、童話や伝承の中のもの。大嘘の力。それをいうなら、『大聖母』じたいまやかしだ。そう。ただのお飾りだ。バカな帝国民どもを、こういうわけのわからない存在を崇めさせることによって、皇族の権威を知らしめているんだ。ということは、ここ二百年は安泰であり続けているいま、そんな存在がなくともわれわれ皇族は皇族であり続けられるということだ。だったらもう、『大聖母』など必要ない。用なしだ。婚約を破棄したってかまわないというわけだ。というわけだ。おまえはここにいる権利はない。ずっと側にいさせてやったが、いますぐ出て行け。二度とその鬱陶しい姿を見たくない」
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