「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~

そして、勘当

 勢いのまま大広間を飛び出してきたけれど、広大な庭を歩きながら気が重くなってきた。

「大聖母」として不用とされ、その上婚約破棄された。さらには皇都追放を言い渡された。

 お父様とお義母(かあ)様になにを言われるか……。

 立ち止まると、豊潤なバラの香りが鼻腔をくすぐった。

 見まわすと、いつの間にかバラ園に来ていた。

「祈りの間」で祈り続けるのに疲れると、ここに来て気分転換をしていたのである。

 当然のことながら、夜のこの時間帯に人の気配はない。

 愚かな元婚約者は、お義姉(ねえ)様にそそのかされたに違いない。
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