「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~

美貌の青年

 亡くなったお母様のお古の靴で歩きまわるのは、そろそろ限界に近い。

 いま着用している地味なドレスと靴は、お母様の形見である。

 歩きすぎて靴擦れを起こしている。それでも歩き続けている。

 それなのにまだ皇宮の外に出ることが出来ない。

 というか、目指す方角が合っているかどうかもわからない。正門でも裏門でも抜け道でもなんでもいいから現れないかしら。

 心が折れそうになったそのときである。
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