「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~

お茶会に乱入する 2

「まぁっ! わたしの正体を知って下さっているんですね。光栄です。『まがいもの』も『ニセモノ』も正解です。ついでに言いますと、『役立たず』でもあります。それから、『お飾り』なんてものもあります」

 全員を見ながら、にこやかに告げる。

 隠す必要はない。どうせウィルクス帝国であったことをつぶさに調べているでしょうから。

「それで、せっかくの素敵な朝ですのに、侍女虐めですか?」

 ほんとうは、嫌味でもって「バカじゃないの?」とまわりくどく伝えたかった。が、急に面倒くさくなった。ネチネチ嫌味を言って相手を貶めることは、まさしく目の前にいる彼女たちと同じなってしまう。

 そんなことを考えながら、いまだにうつむき立ちすくんでいる侍女たちに「下がるよう」そっと合図を送った。それに気がついた侍女たちはすぐに他の侍女たちのところまで下がった。
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