12上の御曹司と女子高生は愛を育めない


「かなり前の話になるが、とある地方の有名菓子会社が賞味期限の改ざんをしていることが明らかになった」


ふと光生さんが話し出す。
私にはその話がどの事件を指しているのかさっぱりわからない。随分勉強していないツケがもう出てしまった。


「並んで買うほどの誰もが知っている有名なその菓子は、その不祥事で一気に信頼を失墜させた。
信頼を築くのは簡単にできない。それこそコツコツと積み重ねていくものだ。
だがそんな信頼は一瞬で崩れる。
それを再度信頼して貰うには、並大抵の事じゃ出来ない」


高速道路から見える景色はいつの間にか山が増えていた。
緑の多い景色と、静かな車内で光生さんが話を続ける。


「誹謗中傷、その企業は倒産の危機にまで追い詰められた。
だが会社は新体制を取り、徹底的に会社、社員の意識改革、品質管理の徹底などを進めて、顧客に対し真摯に取り組んでいること、自分たち企業が本来大切にしていた原点に立ち戻ることなどを誓うことを公表しながら、数ヶ月後には販売再開にこぎ着けた。
もちろんすぐに全て受け入れてもらえたわけじゃ無い。
だがその姿勢が評価されて、業績は一気に回復した。

人はどうしたってミスをする。
問題はミスをしたときにどう挽回するか。
対応によっては以前より強い信頼を得るチャンスになったりするんだよ」


ただ前を見て話す光生さんの顔は私には見たことの無い顔だった。
仕事をしている時はこうなのだろうか。
以前仕事の話をしていた時よりも、この話はより意味を持つのだろうと言うことだけは伝わる。
だけれどその意味は。
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