12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
「気に入ったか?」

「はい!特にこのマイタケ美味しいですね、家でも天ぷらにしますけど味が全然違って」

「蕎麦がもちろん売りの店なんだが、この天ぷらも人気なんだ。
持ち帰り希望する人も多いんだが、とても対応できないと断ってる」

「店員さんそこまで多くないですよね、割と家族経営的な」

「メインのご夫婦と雇っている人達数名だからな、それくらいで回さないと経営的には厳しくなる」


へぇ、と光生さんの説明に相づちを打つ。
店内は古めかしいけれど、お客さんは地元の人もそれなりにいるようだ。
しかしこんな辺鄙な車も無いと行けない場所で繁盛するというのはきっと大変なのだろう。


「見ていて色々感じるだろ?」

「え?」

「立地、客層、商品、経営スタイル、雇用者被雇用者、そういう側面を見るのは楽しいぞ」


そうか、私の進路を聞いてそういう側面でも見てみろって事なんだ。
私は最後の蕎麦を口にしながら、ただ美味しい物を食べるというだけよりも、多くの視点で物を見るのはかなり面白いなという感想を持った。


「今回もこんな場所までわざわざありがとうございます」


光生さんが奢ってくれて会計の時側にいれば、キャッシャーでおつりを渡す若い女性が声をかけてきた。


「繁盛しているようで何よりです」

「これも三ツ沢さんがその後もフォローして頂いているおかげだと感謝しております。
何か私達でご恩返しできるなら少しでも手伝いますので。
お忙しいでしょうがまたお二人で是非いらして下さいね」


そう言うと光生さんの後ろにいた私に顔を見せるように笑みを向けられ慌てて頭を下げた。
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