ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~

5. 二人で交わす

 チャコにとっては長いようで短かった文化祭が終わり、チャコは自転車で自宅への道を走っていた。

 河川敷に目を向けてもジャンはいない。今日は土曜日だから当然だ。

 あのステージからは随分時間が経っているし、もう家に帰っているのかもしれない。けれど、チャコはなぜかジャンがあの場所にいるような気がしてならなかった。何の確証もない。ただの勘だ。それでも確かめずにはいられなくて、チャコは自宅とは違う方向に向かいはじめた。


 自転車を押してゆっくりと坂を上る。徐々にその場所が視界に入ってくる。そうしてチャコの目が捉えたのは、丘の上に立つジャンの姿だった。

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