ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~

4. バズる

 さらに月日は流れ、ジャンとの別れから四年が経過していた。

 チャコは夢の実現に向かって、自分の歌の動画を投稿したり、路上ライブをしたりと地道に活動している。歌う曲はずっとカバーばかりだったが、半年前についに自身の曲も作り上げ、路上ライブでは必ずそれを歌うようになった。



 そんな日々を過ごす中、突然恵が驚きのニュースを知らせてきた。


『チャコ! なんかあんたの動画バズってるんだけど!? これ見てみなよ!』


 恵から送られてきたそのメッセージには動画のリンクが貼られている。リンクを開いてみると、それはチャコが投稿した動画だった。再生回数を見るとすでに百万回を超えている。ついこの間まで一万にすら到達していなかったというのに、信じられないほどの跳ね上がりようだ。全く心当たりがなくて、チャコは恵に縋るように問い返していた。


『何これ。なんで?』
『なんか切り抜き動画でバズったっぽい。澄み声たまらんって書かれてる』


 もう一つ送ってくれたリンクを開くと、それはチャコの動画の一部だけ切り抜かれたものだった。そちらの動画はチャコの動画よりもさらに再生数が伸びていた。


『えー、これどうしたらいいの』
『いや、私にもわかんないよ。でも、チャンスじゃん! 今こそ路上ライブとかやるべきじゃない?』
『確かに』
『でも、すごいね。カバーじゃなくってさ、チャコのオリジナルソングが評価されてるんだよ!』


 そう、この動画はチャコが自分で作った曲を歌った動画なのだ。ジャンへの想いを乗せて作った『君ともう一度』という曲だった。その歌詞にはチャコの想いと望みが織り込まれている。
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