ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
 チャコは帰宅するとすぐに動きはじめた。透子からの連絡を大人しく待つつもりはなかった。


 だって、『あの丘に行く』と歌われていたのだ。ならば、チャコはそこへ行くしかないだろう。さすがに今日はもう間に合わないが、幸い明日が金曜日だから、いるとしたら明日の可能性が高い。もし明日会えなかったとしても、できるかぎりそこで彼が来るのを待ってみようと思った。


 チャコはすぐに恵に事情を話して泊めてほしいとお願いをし、翌日にはもう地元へと向かった。そんなチャコを恵は快く迎え入れてくれた。荷物は恵の家に置かせてもらい、ギターだけを持ってあの丘へと向かった。


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