ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「だから、チャコが歌を仕事にしたいって言ってくれたのが本当に嬉しかった。俺も一緒に歩みたいって強く思ったんだ」


 その言葉が嬉しくて、チャコはまた少し涙が出てきてしまった。


「ジャンっ……私も、私もジャンと一緒にやりたいってずっと思ってた」
「うん、ありがとう、チャコ。それなのに、何も言わずに離れてごめんな。本当にごめん。今なら独り善がりな考えだったってわかる。チャコの歌を聴いて涙が止まらなかったんだ……あんなにも長い時間離れてしまったのに、何も言わずにいなくなったのに、それでもまだ俺のことを想ってくれてるだなんて、自分は大事にしなきゃいけないものを間違ってたって気づいた」


 チャコは自分の想いが伝わっていたことが嬉しかった。ジャンは間違ってたなんて言っているけど、自分が同じ立場だったら、同じことをしたかもしれない。きっとなるべくしてこうなったのだ。




「チャコ、今度は俺から言う。俺と一緒に音楽をやろう?」


 ジャンから言ってくれたのが嬉しくて、チャコは思わず両手でジャンの手を握った。


「うん! ジャンと一緒にやる! ジャンと一緒がいい!」
「ありがとう。ありがとう、チャコ」


 ジャンは繋いでいる手とは反対の手でまた優しく頭を撫でてくれた。それが気持ちよくて自然と目を閉じてしまう。チャコはそのままその感触に浸ろうとしたけれど、ジャンがまた話しはじめたから、そっと目を開けて再び視線を合わせた。
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