ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「ふっぅ……ジャン、は?」
「え?」
「ジャンかっこいいもん……絶対モテるもん……」
「お前まで疑うなよ……俺もお前だけだ」
「でも、慣れてる……」


 ジャンはあのころから随分と手慣れているように感じていた。恋愛経験が豊富なんだろうと思ったのだ。過去に嫉妬してもしかたのないことだが、自分以外にも触れていたのかと思うと面白くなかった。


「はあー……そう見えてたのか。全部お前が初めてだよ。俺の家族はそういうの結構オープンなんだよ。だから、そういう意味でなら慣れてた。好きな人に触れるのは俺にとっては当たり前のことなんだよ」


 予想外の返答だ。しかも、さらっと好きな人だと言われて自然と頬が緩んだ。


「……そっか……よかった……へへっ、ジャン独り占めだ」
「っ。あー、もう、なんでそんなかわいいんだよ」


 ジャンは頭を抱えながらそう漏らした。面と向かって言われるのも照れるが、そんなふうに漏れ出るように言われてしまうとむず痒くてしかたない。


「好きなだけ独り占めしろ。その代わり、ずっと俺のそばにいろよ?」
「うん!」


 チャコは力いっぱい返事した。
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