ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「……航平って誰だよ」
「えっと、私の友達。音楽祭のときとか一緒にいたんだけど……」
「あいつか……俺がいない間、あいつと会ってたのか?」
「え? いや、まあ会ってたときもあるけど……」
「俺が知らないところでよろしくやってた? あいつにも触らせてた?」


 あまりにひどい言われようだ。自分の想いを疑われるのは苦しくてたまらなかった。ずっとずっと想い続けていたのだ。ジャンにはそれを信じてほしかった。


「……ひっうっ……ひどいっ……私、ずっと、ずっと、ジャンが好きだった……ジャンだけが好きだった……全部ジャンとだけだもんっ」
「っ……悪い。嫉妬で気が狂った。ごめん。ごめん、チャコ。ちゃんとあの歌でわかってたのに。つまらない嫉妬した。ごめんな」


 ジャンの周囲の温度が元に戻った。今は慌てた様子でチャコの涙を拭ってくれている。

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