ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
翌日からチャコは自主練に励み、数日後にジャンとの練習の日を迎えた。気ままに歌っているいつもとは違って緊張していたチャコだが、やはり、ジャンの演奏に合わせて歌うのはとても心地よかった。自然と歌が湧き出てくるような感覚に包まれる。
だが、この日、チャコは緊張とは別にいつもとは違う気持ちも抱いていた。
「ねぇ、ジャン。私の歌、大丈夫かな? 冷静になるとちょっと不安になってきた……」
チャコはただ歌うのが好きなだけで何の経験もないのだ。本当に自分が混ざっていいのだろうかという不安が少しずつ膨らんでいた。
チャコは縋るようにジャンを見つめる。すると、ジャンは優しく微笑み、そっとチャコの頭を撫でてくれた。大丈夫だとでも言うように。
いつもそれをされるとドキドキしてしまうチャコだが、この日のそれはチャコに大きな安心をもたらしてくれた。ジャンの表情がとても優しいからそう感じたのかもしれない。不安が薄らいでいくのがわかる。安心してチャコが微笑めば、触れていた手がゆっくりと離れた。
チャコはジャンにありがとうと告げようとした。けれど、その言葉はジャンの指で塞がれてしまった。一度離れた手がチャコの唇に触れてきたのだ。そして、そこを優しく撫でられる。それはなかなか離れていかなくて、何度も何度も撫でてくる。恥ずかしくてたまらなかったけれど、口を開けばジャンの指を咥えてしまいそうで、チャコはその感触をただ受け入れた。
ジャンが唇に触れるのは、歌を意味している。それを撫でられているのだから、きっとジャンはチャコの歌を好いてくれているのだと思った。チャコはすごくすごく嬉しかった。チャコが大好きな音楽を奏でるジャンが認めてくれるのなら大丈夫だと思えた。
ジャンは最後にトントンと唇を叩いてからその指を離した。
「ジャン……ありがとう。ちょっと自信出た。私、頑張る!」
ジャンはもう一度チャコの頭を撫でてから演奏に戻った。チャコも前を向いて堂々とジャンの音に自分の声を重ねていった。
だが、この日、チャコは緊張とは別にいつもとは違う気持ちも抱いていた。
「ねぇ、ジャン。私の歌、大丈夫かな? 冷静になるとちょっと不安になってきた……」
チャコはただ歌うのが好きなだけで何の経験もないのだ。本当に自分が混ざっていいのだろうかという不安が少しずつ膨らんでいた。
チャコは縋るようにジャンを見つめる。すると、ジャンは優しく微笑み、そっとチャコの頭を撫でてくれた。大丈夫だとでも言うように。
いつもそれをされるとドキドキしてしまうチャコだが、この日のそれはチャコに大きな安心をもたらしてくれた。ジャンの表情がとても優しいからそう感じたのかもしれない。不安が薄らいでいくのがわかる。安心してチャコが微笑めば、触れていた手がゆっくりと離れた。
チャコはジャンにありがとうと告げようとした。けれど、その言葉はジャンの指で塞がれてしまった。一度離れた手がチャコの唇に触れてきたのだ。そして、そこを優しく撫でられる。それはなかなか離れていかなくて、何度も何度も撫でてくる。恥ずかしくてたまらなかったけれど、口を開けばジャンの指を咥えてしまいそうで、チャコはその感触をただ受け入れた。
ジャンが唇に触れるのは、歌を意味している。それを撫でられているのだから、きっとジャンはチャコの歌を好いてくれているのだと思った。チャコはすごくすごく嬉しかった。チャコが大好きな音楽を奏でるジャンが認めてくれるのなら大丈夫だと思えた。
ジャンは最後にトントンと唇を叩いてからその指を離した。
「ジャン……ありがとう。ちょっと自信出た。私、頑張る!」
ジャンはもう一度チャコの頭を撫でてから演奏に戻った。チャコも前を向いて堂々とジャンの音に自分の声を重ねていった。