甘い香りが繋ぐ想い
エピローグ
真夢が去り、まもなく遼河の肉体も終わりを迎えた。
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空には無数の星が輝いている。
あと数時間後には夜が明け、学校は下校時刻を、会社は終業時刻を迎える。
早朝の帰宅ラッシュは否めない。
真夢を見送り、かなりの時が流れた。
今、この国は昼と夜が逆転している。気温上昇に伴う大変革が起こったのだ。
建物の外へ出ると、空中にモニターが映し出され、ニュースが流れ始めた。
『現在、海中都市のインフラ整備も大詰めを迎えております。国民は予定通り、順次移動を開始することになるでしょう』
この国、いや、世界の情勢は随分変わった。しかし、信忠の魂は変わらず生き続けている。
うっすらと明るくなった空を見上げ、愛しい人に呼びかけた。
「今、君はどこにいる?もうこの世界にいるのか?私はここにいる。君を待っている。ずっとずっと待っているよ」
この声が届いているといいが……
軽く息を吐き、朝靄の中を踏み締めるように、前へ前へと歩みを進めた。
想い人にしかわからない、甘い香りを漂わせながら……
完
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空には無数の星が輝いている。
あと数時間後には夜が明け、学校は下校時刻を、会社は終業時刻を迎える。
早朝の帰宅ラッシュは否めない。
真夢を見送り、かなりの時が流れた。
今、この国は昼と夜が逆転している。気温上昇に伴う大変革が起こったのだ。
建物の外へ出ると、空中にモニターが映し出され、ニュースが流れ始めた。
『現在、海中都市のインフラ整備も大詰めを迎えております。国民は予定通り、順次移動を開始することになるでしょう』
この国、いや、世界の情勢は随分変わった。しかし、信忠の魂は変わらず生き続けている。
うっすらと明るくなった空を見上げ、愛しい人に呼びかけた。
「今、君はどこにいる?もうこの世界にいるのか?私はここにいる。君を待っている。ずっとずっと待っているよ」
この声が届いているといいが……
軽く息を吐き、朝靄の中を踏み締めるように、前へ前へと歩みを進めた。
想い人にしかわからない、甘い香りを漂わせながら……
完


