冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「おはよー、日奈子」
ホテル九条東京の従業員用ロッカールームで、制服に着替えていた日奈子、声をかけられて振り返る。
日奈子と同じシフトで早番の莉子が出勤してきたのだ。
「おはよう」
彼女は日奈子の隣のロッカーを開けて着替え始めた。
「いやー、大変だね。裏口にまでマスコミがいたよ。カメラも来てたけど、あれテレビかな。裏なんて、見張っても仕方がないのに」
「正面は、警備員さんがいるからね」
美鈴と宗一郎が結婚間近だというニュースが、一部週刊誌で報じられたのが、一週間前。
それから、各テレビ局がワイドショーで取り上げて、ニュースは一気に日本中を駆け巡った。
美鈴が滞在しているホテル九条東京は、ピリピリとした緊張感に包まれていた。
スタッフには徹底的な箝口令が敷かれ、彼女が滞在するスイートルームへ入れる者も制限されているという落ち着かない状況だ。
「それにしてもこんなに大騒ぎになるなんて。言ってもモデルの結婚でしょう? 今時SNSでペロッと発表して終わりって芸能人も多いのに、やっぱり名門のお嬢さまは、話が違うのかな」
この話がここまで注目されているのは、モデルの結婚というエンタメ的な側面だけでなく、経済界に大きな影響を持つ鳳家と九条家の縁談だからである。
「だけどうちの副社長も美鈴もどちらも正式なコメントを出さないもんね。騒ぎがなかなか収まらないのも仕方がないよ。どうしてだんまりなのかな。発表しちゃえばいいのに」
ホテル九条東京の従業員用ロッカールームで、制服に着替えていた日奈子、声をかけられて振り返る。
日奈子と同じシフトで早番の莉子が出勤してきたのだ。
「おはよう」
彼女は日奈子の隣のロッカーを開けて着替え始めた。
「いやー、大変だね。裏口にまでマスコミがいたよ。カメラも来てたけど、あれテレビかな。裏なんて、見張っても仕方がないのに」
「正面は、警備員さんがいるからね」
美鈴と宗一郎が結婚間近だというニュースが、一部週刊誌で報じられたのが、一週間前。
それから、各テレビ局がワイドショーで取り上げて、ニュースは一気に日本中を駆け巡った。
美鈴が滞在しているホテル九条東京は、ピリピリとした緊張感に包まれていた。
スタッフには徹底的な箝口令が敷かれ、彼女が滞在するスイートルームへ入れる者も制限されているという落ち着かない状況だ。
「それにしてもこんなに大騒ぎになるなんて。言ってもモデルの結婚でしょう? 今時SNSでペロッと発表して終わりって芸能人も多いのに、やっぱり名門のお嬢さまは、話が違うのかな」
この話がここまで注目されているのは、モデルの結婚というエンタメ的な側面だけでなく、経済界に大きな影響を持つ鳳家と九条家の縁談だからである。
「だけどうちの副社長も美鈴もどちらも正式なコメントを出さないもんね。騒ぎがなかなか収まらないのも仕方がないよ。どうしてだんまりなのかな。発表しちゃえばいいのに」