その狂愛からは、逃れられない。
花蓮とは、毎日保育園での様子を話したり自分の仕事のことを話したり。お互いが知らない時間を一緒に話すのが日課だった。
今日も、いつも通り外を歩きながら「今日はどんな遊びしたの?」と聞く。
すると、花蓮はしたったらずの口調で、予想だにしない話をし始めた。
「きょうね、おともだちね、"かれんちゃんのパパどこ?"っていった」
「……そう」
「だからね、"かれんにパパいない"っていったらね、なんで? っていったの」
「……花蓮」
「ねぇママ、かれんのパパ、どこ?」
まだ九十センチを少し超えたくらいの小さな体。蓮華と同じ目が、上目遣いで不安そうに蓮華を見つめていた。
いつかは聞かれる質問だと、自分でもわかっていた。
近くにあった公園に入り、ベンチに腰掛ける。
「花蓮のパパはね、いないわけじゃないんだよ」
「そうなの? パパどこ?」
「んー……遠いところ」
そんな言い方をしたら、死んだみたいだな。なんて。
蓮華は目の前にあるジャングルジムを見つめながら笑みをこぼす。
こんな難しい話をしたって、二歳の花蓮にはきっとわからない。保育園のお友達だって同じ二歳。純粋に疑問に思っただけだろう。そこに他意は無い。