朝1番に福と富と寿を起こして
6
翌朝



可愛いトップスにショートパンツ、そこに上着を羽織ってからスニーカーを履いた。
髪の毛はゆるく巻いてから可愛くまとめ、可愛いヘアアクセサリーもつけた自分の髪の毛を、2階の玄関で少し触りながら確認した。



それを確認してから扉を開け、まだ薄暗い世界へと勢い良く飛び出した。



そして、目指した先は・・・



「日曜日の朝5時にどうしたんだよ・・・?」



マンションのオートロックを開けてもらい、玄関の扉が開くと朝人からすぐに聞かれた。
ボサボサな頭にスウェット姿、黒縁メガネに昨日よりももっと伸びた髭。
ここまで髭が伸びた顔は初めて見た。
全然イケていない朝人の姿には笑ってしまいながらも言った。



「朝人、おはよう!!」



「おはよ・・・。」



「私をデートに連れていって!!!」



25歳になった私。
でもやっぱり大人っぽい見た目の女にはなれなかった。
朝人からも勿論大人の女として見てもらえることはないので、今日は“普通”に可愛い格好をして朝人の前に立った。
私に似合うであろう可愛い格好をして。
化粧も会社に行く時よりも可愛いめの化粧にしている。



気合い十分の私の姿を朝人が眠そうな顔をしながらも上から下まで見てきた。
何と言われるかドキドキしながら待っていると、朝人はボーッとした顔のまま小さく頷いた。



「はいはい、車な・・・。
車の鍵取ってくる・・・。
どこまで行くんだよ?」



「朝人はどこに行きたい?
今日は朝人の誕生日じゃん!!
だから行き先は朝人が決めてよ!!」



私の言葉に朝人は固まり、少し無言になってからまた口を開いた。



「デートの練習?」
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