復讐の鈴蘭〜最愛の婚約者が殺されました〜


 事件当夜、その日は乃愛と圭介の婚約パーティーだった。結婚式は挙げずにフォト婚だけ、と話したら共通の友人達が婚約パーティーを開いてくれることになった。

 二人の友人である穴山(あなやま)が働くレストランを貸し切り、大いに盛り上がっていたという。各テーブルには圭介が好きだという鈴蘭の花が飾られていた。穴山の配慮だったそうだ。
 二次会はレストランの隣のビルに入っているバーで行われた。こちらもとても盛り上がった。

 そろそろお開きという時、急に圭介が苦しみ出した。飲んでいたカクテルのグラスがテーブルから落ちた。悲痛な叫びをあげ、喉を押さえて苦しみ悶えた後、彼は絶命した。

 すぐにパーティーにいた一人が警察に通報した。
 捜査の結果、圭介が直前まで飲んでいたカクテルから毒物が検出された。

 検出された毒は「コンバラトキシン」。

 鈴蘭の花や根に含まれる有毒物質で、致死量は青酸カリよりも強い毒性を持っているとされる。
 一次会でのパーティーでは、乃愛から圭介へ鈴蘭のブーケと手紙をプレゼントするというサプライズがあった。

 鈴蘭のブーケは圭介がずっと持っており、二次会のバーでも近くに置いてあった。二次会の場にあった鈴蘭はこのブーケのみだった。
 カクテルを渡したのも乃愛であったことから、警察が一番に疑ったのは婚約者の乃愛だった。


< 3 / 25 >

この作品をシェア

pagetop