クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
【過去との決別、そして未来へ】
結婚式の2ショットの写真。
ずっと見ていても飽きない、広大さんのカッコ良さ・・・
この人が私の旦那さんなんて、嬉しすぎだよ。

「いつまで見てるんだ。置いていくぞ」
「あっ、待って下さい!」
結婚式は家族で済ませ、今日は、職員の人達が準備を進めてくれた、2人のお披露目会。
4月いっぱいで手放す事務所には、もう殆ど荷物は無く、広々とした部屋には、元職員の人達が沢山集まっていた。

「広大君、立派になったね。後継ぎがこんなにしっかりしているから安心だな。所長」
「まぁ、今からでも任せられるけど、2人の時間を大切にしないとね」
「広大君が結婚すると思わなかったわ。高校時代、あんなに」
「ストップ!その話は止めて下さい」
「いいじゃない。昔の話しだし。広大君、凄くモテてたのよ、碧さん」
「前の会社でも、凄くモテてました」
「それでね、」
「じゃあ、俺達はあちらに行きますから、ゆっくりご歓談ください」
広大さんは私の手を引き、所長室に入り、鍵を閉めた。

「広大さん、どうしたんですか?」
「いや・・・あまり知られたくない過去もあるから」
手を口元に当て、目を逸らす広大さん。
「そんなに焦ってると、余計聞きたくなります」
「いや、知らなくていい」
「・・・怪しいですね」
「もう、これで忘れろ」
その場を誤魔化すように、私にキスをした。
「もぉー、ズルいですよ!」
「碧は今の俺だけを見てろ」
広大さんは頬笑みながら、私の手を取り、ドアを開けた。

今日は、お父さんの年代の人が多く来てくれていて、広大さんはあちこちから声を掛けられ、対応していた。
「碧さん、所長には、起業当時からお世話になっていました、西田と言います」
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