クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
【好きが溢れるほど、恋に落ちて】
決算業務が落ちついても、溜まっていた仕事をさばくのに、この時期は休まる暇がない。
疲れもピーク、それに加えて朝晩の寒さで、体調も崩しやすい。

「あぁ、今日熱っぽい・・・でも、今日は時東さんと外出しないといけないし。まぁ金曜日だから、今日さえ乗り切れば・・・」
体温を測ると、きっと気持ちが折れる。
測らずに会社に行こう。

出勤すると、私が熱を出そうが容赦なく、電話は掛かってくるし、伝票は回ってくるし・・・
ランチの時間がようやく来たけど、食欲も無い。ただ、薬を飲むために、少しだけ口にした。

「どうしたの?食欲ないの?」
北川さんが心配している。
「少し熱っぽくて。でも薬飲んだら大丈夫です」
「今日、時東さんと外出でしょ?まぁ、隣で話を聞くだけだから、こっちで仕事するよりは良いと思うけど。無理しないでね」
せっかく時東さんと外出するのに、どうしてこんな日に、私は熱を出すのかなぁ。
ほんと私ってツイてない。

休憩が終わると、時東さんが声を掛けて来た。
「笠間さん、3時に会社を出ようと思うから、そのつもりで仕事片付けて」
「何か持って行く物はありますか?」
「直帰だからな。名刺と帰る準備するくらいか。仕事は出来るところまででいいから」
「分かりました」

時東さんはその後、他部署の部長に声を掛けられていた。
私の何倍の仕事をこなしてるんだろう。
私も頑張らないと。取りあえず、出来るところまでは、仕事を終わらせよう。
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