クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
【タイムリミット】
3月になると、四半期決算の準備が始まる。四半期報告は今期で終了。来期から半期毎だ。

「また決算かって感じだよね。でも、四半期はまだ気が楽よ」
ランチの時、北川さんが余裕の笑みをこぼしていた。
「私はまだまだ緊張しますけどね。でも、流れが分かるとだいぶ楽です」
「笠間さんも、もう3年目に突入だね」
「そうか・・・まだまだ頼りないですけど」

広大さんの部下として成長出来たけど、まだまだ迷惑を掛けてる。
もっと、色々と学ばないと・・・
「ところでさ、笠間さん、最近凄く色っぽくなったように思うんだけど・・・彼氏でも出来た?」
思わず、手が止まった。
「やっぱりね!変わったもん。男が出来ると変わるもんだね」
「恥ずかしいですよ!北川さん」
「いい恋、してるんだね」
「そうですね。凄く素敵な人です」
「そう、また紹介してね」
「はい、落ち着いたら絶対に」
今は取りあえず、そっとしておこう。きっと、びっくりすると思うから。

2月の後半から3月の土日は、確定申告の応援で、広大さんはお父さんの事務所に顔を出すことが多くなっていた。
「一緒に行くか?今週で終わるから」
事務所に行くと、この時期、土曜日は出勤日になり、皆黙々と仕事をしていた。
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