クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
2人で車に乗り、少し走ると、海が見える場所で車は止まった。
「俺の事は、もう嫌なのか?」
「・・・」
「答えてくれ」
「えっと・・・」
「じゃあ、質問を変えようか。好きな人が出来たって言ってたな。その人は、俺より碧を愛してるのか?」
「そのことは・・・」
広大さんの目を見ることが出来なかった。
「碧、こっちを見ろ」
私は顔を上げて広大さんの目を見つめると、とても悲しげな目で、私を見つめていた。
「俺に嘘をつくな」

私は、抑えていた感情が込み上げ、涙が零れだした。
「すまない。こんなに辛い思いをさせて・・・」
広大さんは、私を抱きしめた。
「頼む。話を聞かせてくれ」
私を抱きしめる腕を解いて見つめる目に、私は口を開いた。

「昨日、凄く会いたくなって、夜、広大さんの事務所に向かったんです」
私が話す言葉を、広大さんは静かに聞いていた。
「そしたら、広大さんが事務所から出て来て、後から出て来た桜子さんが、広大さんを抱きしめているのを見て・・・2人は付き合ってるんだと知って、身を引こうと」
「あの時か・・・」
「きっと私を可愛そうに思って、広大さんは桜子さんとの仲を言えないのだと思って」
「そうだったのか・・・」
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