クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
【大倉さんとお別れの日】
あまりに色々ありすぎた3日間が過ぎ、月曜日の朝を迎えた。
大倉さんに伝えないと・・・
「おはようございます。あの・・・色々とありがとうございました」
「まぁ、部下が気持ち良く仕事してくれることが、何よりだから。で、上手くいったの?」
「あっ、はい。そ、それで、あの時大倉さんが言ってたことなんですが・・・」
「あ、あぁ・・・あれは全部冗談だから。まぁ、俺流の心理的に部下が幸せになるように、ってやつだ」
「そっ、そうですよね。いやですね、私ったら真に受けて」
恋愛に慣れてないと、こうも簡単に恋愛上手な人に騙されてしまう。
気をつけないと。

「あの、大倉さん。実は、お話があるんです」
「告白なら聞くけど」
「まぁ、告白と言えば、告白ですが・・・」
「ははっ、そうなの?まぁ、話は会議室で聞くから。行こうか」
大倉さんに付いて、会議室に入って行った。

「あの夜の続き、なんて言うなよ」
「そ、そんなこと言いません!」
「・・・その指輪・・・広大君から?」
「はい。それで、私、時東さんの仕事をお手伝いしようと思って」
退職届を大倉さんの前に置いた。
「・・・本当に辞めるの?」
「はい。もう決めました」
「そうか・・・分かった。退職日は・・・3ヶ月後だね」
「決算の締めが大方終わったら向こうに行くので、12月からは必要な時だけ出勤します。忙しい時期ですがいいですか?」
「そのつもりで色々進めるよ。でも、寂しくなるな」
「大倉さんには、お世話になりました」
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