秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
伯父の家で
僕がまだ小学生の頃、五年生の夏だ。学校は夏休みに入ったばかりだった。
両親が離婚し、母に引き取られることになった僕は、母と共に、それまで住んでいた、生まれ育った家を出ることになった。
離婚に至った経緯はよくわからない。両親の仲は悪くはなかった。母も一人息子の僕も、父から暴力を振るわれたこともなく、ただ、ほとんど家にいない人だったと記憶している。それが仕事が忙しかったせいなのか、どうなのか。
母と僕が身を寄せたのは伯父の家、母の兄の家だ。天井の高い、大きな広い家だった。広い庭もあった。僕らが訪れたとき、その庭の真ん中、広い芝生を背に、大輪のひまわりが咲いていたのをよく覚えている。
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