秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
「わたしの横へ来て。持っと近くに、光輝くん。そこにひざまづいて」

 斜め前なのは同じだったが、彼女の体に、あらわな白い足のすぐ横に、言われたとおりに、臙脂色の絨毯が敷かれた床に両膝をついた。

 彼女の少し冷たい手が僕の手首を軽く掴んだ。そのまま、その手を自分の太もものあいだに。僕の手のひらにすべすべした肌の感触が伝わってきた。やがて僕の指が…指先が何かに触れた。柔らかくて、ヌルッとしている。温かい。

 そこに指が触れた瞬間、僕は殴られたように愕然とした。彼女は下着をつけていなかった。スカートの下は…だから…。

「見てはだめ。見ないで、光輝くん。触るだけだよ」

 うんうんと馬鹿みたいにうなずいた。彼女の手が僕の手をそこに押し付ける。ヌルヌルして柔らかで、思わず、そこを指で撫でた。

「はあっ…」

 僕と目を合わせたまま、彼女が甘い息を吐く。

「もっと触っていいよ。もっと」
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