秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
君の味がする
その日を境に、覗いている僕を彼女が呼ぶようになった。こちらを見もしないのに、ドアの影に隠れている僕の存在に気づくのだ。読書をしているときや机に向かって勉強しているとき、庭を窓から眺めているときには呼ばれない。僕を呼ぶのはいつも決まっていた。
「こっちへ来て。光輝くん」
呼ばれた僕は、いつもの位置に、椅子に腰掛けている彼女の斜め前、そこが僕の定位置だった。そこに立って彼女を見つめる。彼女の手が膝の上まで、太もものあたりまでスカートをたくし上げ、内ももへ滑り込むのを見る。そんな僕を、手をゆっくり動かしながら彼女が見つめる。胸に触り、スカートの奥の腿の中心を触り、はぁっ、と、かすかなため息をつく。秘密の遊戯の終わりにはいつも
「内緒だから。誰にも言ってはだめ」
僕の目を見つめながらささやいた。
でもある日、変化が訪れた。定位置で立ち尽くす僕の腕を捉え、彼女がこう言ったのだ。