秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
 秘密の遊戯のたびに、パンツの中がベトベトになってしまうのは困った。洗濯は母がしてくれる。でも、こんな、べっとりした生臭い液がいっぱいくっついている下着を母が見たら、きっと変に思う。いったい何をしているのかと怪しむに違いない。

 もしも…もしも母に、彼女と、沙耶さんといやらしいことをしているのを知られたらまずい。絶対に知られてはいけない。

 だから、彼女の部屋から自分の部屋に戻ると、僕は真っ先にトイレに駆け込んだ。トイレでパンツを脱ぎ、ぬるついた臭い液を洗面所でこっそり洗い流した。固く絞ったパンツはまた履いた。濡れて不愉快な感触がするのは我慢した。

 夜。悶々としながら彼女のことを考える。今頃どうしているだろう。ぐっすり寝ているかな。夢でも見ているかな。

 彼女がいる部屋は、廊下に出て、まっすぐ、突き当たりを左に曲がってすぐのところにある。

 ああ。会いたい。
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