秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
 聞きたいことはいっぱいあった。あり過ぎて何から聞いたらよいのかわかないぐらいいっぱいあった。たとえば…たとえば、伯父さんは、深夜になぜ彼女の部屋に来るのか。二人で何をしているのか、とかだ。

 伯父さんと沙耶さんは親子なんだから、深夜だろうがどうだろうが、いつ来たっておかしくはない。おかしくはないのに、何かおかしい。でも聞けない。聞いたらいけない気がしていた。だから聞かない。聞けなかった。

「ねえ。光輝くん」
「なに」
「こっちへ来ない?」
「こっちって?」
「毛布の中に」
「えっ…と」
「服を脱いで、来て」

 ええと。どういうことだ。服を脱ぐって?

「服をぜんぶ脱いで、毛布の中に、わたしの横に来て」
「そ、それは」
「見ちゃだめ。わたしも見ないから」
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