秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
 すべすべした肌の感触が、くっついた僕の体に伝わってくる。もっと感じたくてもっとくっついてみる。温かい。僕はとっても幸せだった。

 手探りで、なめらかな肩を撫で、撫でながら下に…その手を優しく捕まえられた。

「ごめんね。今日はだめなの」
「ああ。そうだね」

 しまった。そうだった。彼女は体調が良くないんだ。だから寝ているのに。

「ごめんなさい。沙耶さん」
「いいの。わたしはいいの」
「うん」
「つらい?」
「えっ」
「わたしのからだに、触らせてあげられないから」
「…」

 答える前に考える。僕は、確かに彼女に触りたい。いつものようにエッチなことしたい。でもそれは彼女に喜んでもらいたいからだ。だから僕は彼女にそう答えた。すると彼女は

「そうなんだ」
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