秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
 そう言った。意外そうな感じの声だった。違う答えを期待されていたのか。だったら僕は失敗した。しかし嘘はついていない。嘘は言っていないけれど、僕の股間のものは理屈抜きにストレートに正直だったので、彼女に気づかれないように、腰をそうっと引っ込めた。

 彼女は上を向いて寝ている。握った僕の手を、なめらかなお腹のちょっと上のあたりに置いている。僕は、空いている方の手を彼女の太もものあたりに置いた。動かさない。撫でたり触りたくても我慢した。
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