秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
君を忘れない
沙耶ちゃんはね。生まれつき心臓に欠陥があったの。移植手術の話もあったみたいだけど、体力もあまり無かったから、様子を見ながら体力を付けていって、将来は移植手術を受けて普通の体に、という予定だったのよ。一週間ぐらい前に、急に具合が悪くなって入院したの。でも、容体が回復しないまま、亡くなってしまった。
あと一ヶ月ちょっとで沙耶ちゃんの誕生日だったのに。
†
僕は何も知らなかった。彼女について何も。何もだ。誰も、彼女自身も、何一つ教えてくれなかった。心臓が悪いことも、手術のことも、誕生日のことも、生きていたら二十歳になるはずだったことすら知らなかった。
彼女がいなくなってしまってから母が教えてくれた。でも、もう遅い。遅すぎる。どうしてもっと早く教えてくれなかったのかと泣き叫んで暴れた。どうして。どうして僕だけが。
あと一ヶ月ちょっとで沙耶ちゃんの誕生日だったのに。
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僕は何も知らなかった。彼女について何も。何もだ。誰も、彼女自身も、何一つ教えてくれなかった。心臓が悪いことも、手術のことも、誕生日のことも、生きていたら二十歳になるはずだったことすら知らなかった。
彼女がいなくなってしまってから母が教えてくれた。でも、もう遅い。遅すぎる。どうしてもっと早く教えてくれなかったのかと泣き叫んで暴れた。どうして。どうして僕だけが。