悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった(嘘だと言って!)

準備完了!

「何という可愛さ、愛らしさ!これなら、今日ご一緒に鑑定に参加される第2王子も、お嬢様に惚れること間違いなしです!」

 ミリーの声に、はっと我に返る。

「相変わらず大袈裟なんだから。でも、確かに可愛いかも!」

 今日のドレスは、シンプルで瞳の水色と同じ色になっている。プリンセスラインのアンクル丈になっていて、ネックラインはラウンドネック、袖はパフスリーブ。靴は薄紫色の踵が少し高くなったものを履いている。完全に"ミナティー"のヒロインだ。

 はぁ、憂鬱だ〜、行きたく無い…。

「どうしたのですか、お嬢様。」

「今日の鑑定式、魔法の属性は知りたいけど、行きたくないよ〜。」

「どうしてですか?昨日は『聖女になれるかも!』って、楽しみにしてたじゃないですか。」

「前世では、初対面の人と話したりするのが苦手だったからね〜。特に男性とか。あと女子怖い。」

「そうなんですか〜、でも、鑑定に行かないと罰が下ってしまうので、我慢していかなきゃですね。帰ったら、ご褒美のご馳走ですよ!それを楽しみに頑張りましょう、私もついていきますので!!」

「ありがと、ミリー。あなたがいるなら、心強いわ。」

 ミリーや他の使用人には、家族に前世の記憶があると告げたときに聞かれているので、知られている。それでもみんなが今まで通りに接してくれて、嬉しい限りだ。

「へへ、嬉しいお言葉、ありがとうございます!」

 そう話していると、トントンっとドアを叩く音がする。

「レティ、ミリー、準備はできたか?」

「お父さん、準備バッチリだよ!」

 外に出ると、家族みんなが待っていた。そして、目を丸くして固まっている。

「いやぁ、驚いた。まさかこんなに可愛くなるとは。」とお父さんが言えば、

「ほんとほんと。まるで天使みたいだ。しかし、これじゃまわりの男どもがが狼化するんじゃないか?外に出すのが心配だな」とお兄ちゃん。

 かと思えば、「さすが我が娘ね!みんなに自慢しなきゃ!」とお母さん。

「お姉ちゃん、かわいい…」と弟まで。

「みんな、褒めてくれてありがと!あと、お兄ちゃんは大袈裟。」

「いやいや、大袈裟なんかじゃないぞ!前のレティなら素直に褒められてたんだけどな… 
もしかして、前世の愛ちゃんは自己肯定感が低かったとか?」

「あはは、そんな感じ。」
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