ラブ・ジェネレーション
3.高橋結衣の秘密


数年に一度、忘れかけた頃に、まるで忘れさせないかのように甦り繰り返される幼い頃の夢、

小学校の一年生ぐらいだったろうか、、

隣町に住む伯母さんの家に遊びに行った時のことだ、お母さんはいなかったからきっと何か用事があって私を伯母さんに預けていたのだろう。

伯母さんはゴムボールを手に持って、近くの公園に私を連れ出してくれた、

ブランコに乗って、滑り台を滑って、
上手く着地できずに顔から砂場に突っ込んで砂まみれになってしまった私の顔を、伯母さんは花柄の綺麗なハンカチを水に濡らして優しく拭いてくれた、

「結衣ちゃん、痛くなかった?」 

「これぐらい大丈夫だよ」
お母さんの前だったらきっと泣いていたに違いないけど、伯母さんの前では子供ながらに我慢していた。

「結衣ちゃん、ボールで遊ぼっか」
バレーボールより一回り小さいゴムボールを、足で蹴って遊んだ、
下手な私が蹴ったボールがあらぬ方向へ、お伯母さんは取れずに後ろで遊んでいた小学生がそれに気づいて直接私に蹴り返してくれた。それが運悪く私の目の前で小石に当たって方向を変えてしまう、
取りきれずに転々と転がったボールは公園の木々や手すりを奇跡的にすり抜け道路へ、

慌てて追いかけるわたし、

「結衣ちゃん、危ないから待って!」
伯母さんの止める声を背中に聞いた、

ちょうどその時、道路の反対側を歩きながら横切る親子が見えた、男の子がボールに気づいて一歩前に乗り出した、その次の瞬間、

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