ラブ・ジェネレーション
切れてしまった携帯の画面をずっと眺めていた、涙は止まらない、けど、いつまでも立ち止まってもいられない、一人で歩いて行かなきゃ、この涙を止めてくれる人が現れるまで、孤独と闘い明日が望める時が来るまで。
ふらふらと家を出て、足が向いた先は通学路の堤防の上だった、
犬の散歩途中の主婦が私を振り返り首を傾げていく、きっと私の顔は酷いものなのだろう。
気づけば、大きな夕陽に照らされた堤防の土手に寝転んでいた、翔琉との思い出の場所だ、あの日の草の匂いが青春時代の情景を思い出させる、
一風の涼風が濡れた頬を撫でて前髪を乱した、
『結衣の前髪を掻き分ける仕草が好きなんだ』
こんな風が強い日、翔琉は私の顔を飽きもせず、ずっと眺めていたね、
続けて低く地面を撫でるように吹いた風が、必死に耐えていたたんぽぽの綿毛を攫っていった、茜空に飛び立つ種が私から離れていく翔琉に見えて、思わず手を差し伸べ掴もうとしたけれど、
種は無常にも指の間をすり抜け空へと舞い上がる、
……行かないで、、
周りの景色をオレンジ色に包み込んで、高度を下げながら夕陽は次第に大きさを増していく。
「ねえ翔琉、見てー、あの日と同じくらい大っきいよー」
返事は帰らない、
振り返って、確かに居たはずのあの日の声の主を探した、、
でも、、私の横に、もう、もうあの笑顔はなかった、
目を凝らせば、勇気が出せないタンポポの綿毛が儚げに揺らめいていた、それがこの場所にひとり取り残された私みたいに見えて思わず声をかけてしまう、
「飛び立てないよね、怖いの?
もう翔琉は先に行っちゃったよ……早くしないと見失っちゃうから、私も勇気がなかった、着いていけなかったんだよ、君と同じ、、彼に置いてかれたの」
うっ、ーーーーーーっ、
もう止まらない涙がポロポロこぼれ落ちた。
「頑張れー、翔琉……、私は此処で応援してるからねーー」