【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 今日こそ……! からのお預けをくらいまくったフレデリカ。
 そろそろ我慢の限界であった。
 自分が泊まるたび、シュトラウスが寝不足になっているのも気にかかる。
 少し探りをいれようと、彼女は動き出す。

「ブラーム。ちょっといい?」
「フレデリカ様? シュトラウスなら、執務室のほうにいると思いますよ」
「あなたに用があるの」

 王城内の廊下にて。
 シュトラウスの右腕・ブラームが一人で歩いているところを見つけたフレデリカは、彼に声をかけ、人目につきにくいよう端っこへと移動する。

「急にごめんなさい。ちょっと聞きたいことがあって」
「俺に、ですか?」
「うん。……シュウのことなんだけど。彼って、寝つきと寝起きが悪いの?」

 ブラームはシュトラウスの部下として、昔からそばにいる。
 離れに泊まることもあるという話だから、その辺りについて、ブラームなら知っていると思った。
 フレデリカにずいっと近づかれたブラームは、目を泳がせながらも答える。

「あー……ええと……。寝起きはあまりよくありませんが、寝つきはいいと思います。仮眠をするときは、すぐに寝ますね」
「あなたがシュウの離れに泊まったときは? 朝、いつも調子悪そう?」
「いえ、そんなことはなかったと思いますが……」
「そう……。ありがとう。仕事に戻って大丈夫よ」
「はあ……」

 ブラームを解放したフレデリカは、難しい顔をしていた。
 彼の話を聞いた感じだと、シュトラウスは、寝起きはあまりよくないものの、寝つきが悪くて寝不足になるタイプではなさそうだ。
 そうなると……。

「……私がいるから?」

 自分が同じベッドにいるせいで、シュトラウスが寝不足になっているのかもしれない。
 今のフレデリカにわかることは、このぐらいだった。
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