【電書化・コミカライズ】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 ルーナからすればシュトラウスは他人だから、彼がなにを考えていようと、ルーナの知るところではないが……。
 親友のフレデリカが、シュトラウスのことで悩み苦しんでいるのは、見ていてつらかった。
 可愛い婚約者をしょんぼりさせていないで、どう思ってるのかはっきりしろ! とシュトラウスに対して感じるのである。

 そんなとき、こんこん、とノックの音が響く。

「フリッカ、シュトラウスだ。少しいいか?」

 続いて聞こえてきたのは、シュトラウスの声。
 話題の人物、突然の来訪である。

「は、はいっ! しょ、少々お待ちを!」

 声を裏返らせたフレデリカは、がばっと起き上がり、乱れた髪を整え始める。
 好いた人の前で少しでも綺麗でいたい、恋する乙女。
 そんなフレデリカの姿を、「可愛いわあ」とルーナが見守る。
 今日、シュトラウスが王城にいることは、フレデリカも知っていた。
 幼い頃に比べて距離はあるものの、シュトラウスのスケジュールは、毎回、本人の口からフレデリカに伝えられているのだ。
 仕事の合間に会いに来てくれたのかしら、とフレデリカはドキドキしながら手ぐしで髪を整えた。
 軽く深呼吸して、よし、と意気込んでから、「どうぞ」と入室を促した。

「フリッカ。明日以降の俺のスケジュールについて、少し話が……。っと、ルーナ様もいらっしゃいましたか」
「ええ。でも、もういい時間だし私はそろそろお暇するわ」

 ルーナはすっと立ち上がり、すれ違いざまに、フレデリカの耳元で「頑張って」とエールを送った。
 愛しの婚約者様の登場に、自分は引こうと考えたルーナだったが、シュトラウスの次の一言で、動きを止める。
< 18 / 183 >

この作品をシェア

pagetop