【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
3章
 自室に逃げ帰り、ベッドに腰掛けたフレデリカは、先ほどのシュトラウスの言葉を思い出す。

 フリッカは、妹のような存在だ。

 彼は、確かにそう言った。
 フレデリカは、彼の婚約者のつもりだった。
 彼との距離を縮めたくて、自分から動くこともした。
 でも、シュトラウスにとって、フレデリカは――

「妹、かあ……」

 フレデリカの頬を、つう、とぬるい液体がつたう。
 自分はシュトラウスの妹のままだった。
 恋愛対象ではない。今もそういう意味で、フレデリカのことを好きなわけではない。
 そういうことだろう。
 この年になっても、彼にアピールしてもダメだったのだ。
 シュトラウスが、自分を好きになることはない。
 彼がフレデリカと同じ気持ちを抱いてくれる日は、こないのだろう。
 フレデリカは、婚約13年目にして、失恋した。

 執務室の前に刺繍のハンカチを置いてきてしまったことに気が付いたが、もう、取りに行く気力もなかった。
 仲良し大作戦は大成功、のはずだったのに。
 ルーナが応援してくれたのに。
 自分は今も妹扱いで、二人でのおでかけもデートだと思われていなかっただなんて、どう話せばいいのだろう。
 ふさぎ込んだフレデリカは、シュトラウスを避け、彼の話題を口にすることも控えるようになった。
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