怖い部屋-やってはいけないことリスト-
今の所大きな喧嘩もしたことがない。
でもいつか、純と良子のように信じられないほどの喧嘩をする日が来るかもしれない。
ふたりに起こった出来事は、決して他人事ではない気がしている。


「それにしても、今回みたいなのがまだまだ憑いてるなんて、すごい場所だよねここって」


亜希が改めてコテージを見上げた。
周囲にあるコテージと同じ作りをしているし、今は太陽の光があたって不吉な建物には見えない。


「コテージができる前にはなにがあったのか、全然わからないもんな。それこそ、あの3人が暮らし始めるもっともっと前にも、なにかがあったかもしれない」


時には土地事態に霊魂が憑くときもある。
そういう場合にはどれだけ建物が変わっても怪現象は起きてしまう。

土地そのものが曰くつきだから、もう手の打ちようがないのだ。
太陽の光で体が温まってきたのか、亜希がゆっくりと立ち上がった。


「亜希、大丈夫?」

「うん。管理人さんのところに行かないとね」


そう言って雪に埋もれた道へ視線を向ける。
普通なら10分もあればつくけれど、どれくらい時間がかかるだろうか。

コテージに戻って固定電話から電話で説明した方が早いのはわかっている。
でも、もう部屋に戻る気にはなれなかった。
ふたりは重たい腰を上げるように、ようやく歩き出したのだった。
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