幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


「那桜……っ!!」

「いやー残念でしたねぇ。誰かさん、今回こそは勝つって息巻いてましたけど?」

「うるさいうるさいうるさーーい!!」

「お前が一番うるさいぞ、吉野〜」


 先生の言葉にハッと手で口を押さえる。
 それに対してプッと噴き出す那桜。口にせずとも目が「アホ」と私をバカにしている。


「那桜ーー!!誰がアホだーー!!」

「何も言ってませんけど」

「吉野うるさいぞー」


 そんな私たちを少し遠くから見つめるクラスメイトたち。成績順で振り分けられるため、3年間面子は変わらずほぼ一緒。

 そのため私たちのやり取りも見慣れた様子で静観している。


「吉野さん……黙ってれば清楚可憐な完璧美少女なのにな」
「動いて喋るとなぁ……」

「那桜くん今回も1位だって!」
「頭も良くてスポーツ万能、更には学年一、ううん学校一のハイスペックイケメン!最高だよね♡」

「あの二人って、並ぶと美男美女だしお似合いなのにね〜」
「毎日喧嘩ばっかりしてるよね〜」
「ほんと毎日飽きないのかな」


 ヒソヒソ会話するクラスメイトたちの声は、私の耳には一切届いていなかった。


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